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男の気持ち

冬の寒い日 将太君は一匹の子猫を学校の帰りに路地裏で見つけました。
その子猫は白く黒と茶色と黄色の三毛猫でした。耳の色が茶色でとてもおしゃれで
可愛かったので、将太君は思わず傍に駆け寄りました。
しかし 子猫は驚いてすぐに逃げてしまいました。

次の日 また路地裏で三毛猫を見つけました。
今度は友達の洋介君も一緒です。
将太君は この三毛猫がとても好きになったので
遠くから洋介君にも紹介しました。

僕 あの猫 一度触ってみたいのだけど すぐに逃げてしまうんだ。
将太君は残念そうに言いました。
洋介君は
だったら えさをあげてみたらいいよ。
と 提案してくれました。
えさってどういうえさがいいのかな。
猫のえさって売ってるじゃないか。あれでどうかな。

洋介君に教えてもらって
将太君は ペットショップに行きました。
でも 自分のおこづかいでは買うことができません。
そこで 将太君はおかあさんにお金をもらうことにしました。
しかし お母さんはそんな簡単にお金をくれません。仕方ないので
参考書を買うからと 将太君は言いました。
おかあさんは ちゃんと勉強するのよと1000円くれました。
将太君はペットショップに行ってすぐに猫のえさを買いました。

翌日 将太君は先生に見つからないように猫のえさを鞄にいれて
学校に行き、洋介君にえさを持ってきたことを伝えました。
二人は 学校の帰りにまた路地裏に行き その子猫がこちらを見たので
そっとえさを置いてみました。

子猫は おびえながら近づき ちょっと食べてみました。
おいしいとみえて まだ食べています。
将太君は 今度は少しずつ近づいて 自分の手にえさを乗せてみました。
洋介君がそうしてみたらと言ったからです。

子猫は最初 矢張り様子を見ていましたが
結局 怖いとみえて すぐに去ってしまいました。
がっかりした将太君に洋介君は言いました。
子猫って そんなに簡単になつかないよと 慰めてくれました。
じゃ 明日もまた来ようと 将太君は決めました。

3回くらい同じように接してから 子猫はなつきました。
子猫がなついたので 将太君はその子猫に『みい』と名づけました。
小さい声で みい と鳴くのでとても可愛いのです。
なついたので 今度はそっと抱いて見ました。
みいは 小さい円らな瞳で 将太君を見上げました。
将太くんはあまりの可愛さに ぎゅっと抱きしめていました。

本当は家に連れて帰って一緒に寝たいな。
将太君は思いました。

ちょっとお母さんに聞いてみました。
ねえ お母さん うち猫飼ってはいけないの?
あたりまえでしょう。いったい 誰がお世話をするの?
僕 猫飼いたいなあ。
将太君の夢は大きく膨らみました。

学校の帰りに毎日毎日 みいに餌をあげて みいを抱きました。
勉強よりもみいが可愛くて仕方ありません。
いつもなら 塾にも行かなくてはならないのですが
みいと一緒に遊んで 塾のことも忘れてしまいました。

ある日 お母さんが
将太 昨日 塾の先生から電話がかかってきたけどどうして行かなかったの?
将太君のお母さんはとても勉強に熱心な人だったので
本当のことが言えません。
だってさ 洋介君と遊んでいて忘れちゃったんだよ。
と つい洋介君のせいにしてしまいました。
お母さんは ちゃんと土曜日は行くのよといいました。
将太君は 月曜と水曜と土曜は塾に行っています。
今までは 何も楽しいことがなかったから とりあえず 行っていましたが
みいと遊ぶようになってからは 勉強するよりも
みいを抱っこしたり ほおづえしたり
猫じゃらしで遊んだり そっちのほうが楽しいのです。

そして 将太君は 土曜日も塾を休んでしまいました。
将太 今日も塾いかなかったの?
とお母さんは怖い顔で言いました。
お母さんがあまりに怖いので さすがに今日は洋介君ととはいえません。
しかも お母さんは
今日は 矢島洋介君のお母さんにも聞いたの。
あなた 学校の帰りに猫と遊んでいるんだって?
と 尋ねました。

仕方なく うん というと
お母さんは もう猫と遊ぶのはやめて
ちゃんと塾に行ってちょうだいと 厳しく言うので
将太君は しぶしぶ はい と小さい声で言いました。

そうは言っても みいを見かけると
どうしても 抱っこしたくなります。
鞄に餌をいれておいて 手に乗せれば
みい と鳴きながら 食べます。
可愛いな 可愛いな と将太君は思います。

みいを抱っこして その可愛いまあるい大きな目をみて
毛並みのいい小さい体を抱いて やっぱりみいを捨てるなんてできないと思います。
お母さんに怒られるので 塾はサボらないことにしました。
そうなると みいと触れる機会が少なくなるのは仕方がありませんが
もうあえなくなるよりいいと思いました。

月曜の夜 お母さんが
将太 まだ 猫と遊んでいるの?と尋ねました。
ううん もう遊んでないよと言うと
おかあさんは また怖い顔をして
ウソおっしゃい。猫の毛がトレーナーについてたわよ。
と 言いました。
将太君は お母さんを騙すことは難しいなと思いました。

とはいっても学校の帰りにみいを見かければ 
どうしても傍に行ってしまいます。
僕は みいと離れることなんて出来ないよと
将太君は思いました。
しかし お母さんは怖い。お母さんは将太君の洋服を
お洗濯のたびにチェックしました。

そのうち 将太のおこずかい これから少し減らすわねといいました。
おかあさんは 将太君が少ないおこづかいで
猫にえさを買ってあげるのを知っていました。
将太君は学校の帰りもお母さんに見張られているのじゃないかと思って
ついに みいを見かけても 知らんふりをすることに決めました。

そういう日が続いた翌年の秋
将太君は 学校の帰りに みいを見かけました。
それは お金持ちのおばさんに抱かれている 白い三毛猫。
耳が茶色で みい と 鳴いていました。
僕は もう みいを抱けないんだなと
昔を思ってとても切なくなりました。
(おしまい)

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