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男の気持ち

冬の寒い日 将太君は一匹の子猫を学校の帰りに路地裏で見つけました。
その子猫は白く黒と茶色と黄色の三毛猫でした。耳の色が茶色でとてもおしゃれで
可愛かったので、将太君は思わず傍に駆け寄りました。
しかし 子猫は驚いてすぐに逃げてしまいました。

次の日 また路地裏で三毛猫を見つけました。
今度は友達の洋介君も一緒です。
将太君は この三毛猫がとても好きになったので
遠くから洋介君にも紹介しました。

僕 あの猫 一度触ってみたいのだけど すぐに逃げてしまうんだ。
将太君は残念そうに言いました。
洋介君は
だったら えさをあげてみたらいいよ。
と 提案してくれました。
えさってどういうえさがいいのかな。
猫のえさって売ってるじゃないか。あれでどうかな。

洋介君に教えてもらって
将太君は ペットショップに行きました。
でも 自分のおこづかいでは買うことができません。
そこで 将太君はおかあさんにお金をもらうことにしました。
しかし お母さんはそんな簡単にお金をくれません。仕方ないので
参考書を買うからと 将太君は言いました。
おかあさんは ちゃんと勉強するのよと1000円くれました。
将太君はペットショップに行ってすぐに猫のえさを買いました。

翌日 将太君は先生に見つからないように猫のえさを鞄にいれて
学校に行き、洋介君にえさを持ってきたことを伝えました。
二人は 学校の帰りにまた路地裏に行き その子猫がこちらを見たので
そっとえさを置いてみました。

子猫は おびえながら近づき ちょっと食べてみました。
おいしいとみえて まだ食べています。
将太君は 今度は少しずつ近づいて 自分の手にえさを乗せてみました。
洋介君がそうしてみたらと言ったからです。

子猫は最初 矢張り様子を見ていましたが
結局 怖いとみえて すぐに去ってしまいました。
がっかりした将太君に洋介君は言いました。
子猫って そんなに簡単になつかないよと 慰めてくれました。
じゃ 明日もまた来ようと 将太君は決めました。

3回くらい同じように接してから 子猫はなつきました。
子猫がなついたので 将太君はその子猫に『みい』と名づけました。
小さい声で みい と鳴くのでとても可愛いのです。
なついたので 今度はそっと抱いて見ました。
みいは 小さい円らな瞳で 将太君を見上げました。
将太くんはあまりの可愛さに ぎゅっと抱きしめていました。

本当は家に連れて帰って一緒に寝たいな。
将太君は思いました。

ちょっとお母さんに聞いてみました。
ねえ お母さん うち猫飼ってはいけないの?
あたりまえでしょう。いったい 誰がお世話をするの?
僕 猫飼いたいなあ。
将太君の夢は大きく膨らみました。

学校の帰りに毎日毎日 みいに餌をあげて みいを抱きました。
勉強よりもみいが可愛くて仕方ありません。
いつもなら 塾にも行かなくてはならないのですが
みいと一緒に遊んで 塾のことも忘れてしまいました。

ある日 お母さんが
将太 昨日 塾の先生から電話がかかってきたけどどうして行かなかったの?
将太君のお母さんはとても勉強に熱心な人だったので
本当のことが言えません。
だってさ 洋介君と遊んでいて忘れちゃったんだよ。
と つい洋介君のせいにしてしまいました。
お母さんは ちゃんと土曜日は行くのよといいました。
将太君は 月曜と水曜と土曜は塾に行っています。
今までは 何も楽しいことがなかったから とりあえず 行っていましたが
みいと遊ぶようになってからは 勉強するよりも
みいを抱っこしたり ほおづえしたり
猫じゃらしで遊んだり そっちのほうが楽しいのです。

そして 将太君は 土曜日も塾を休んでしまいました。
将太 今日も塾いかなかったの?
とお母さんは怖い顔で言いました。
お母さんがあまりに怖いので さすがに今日は洋介君ととはいえません。
しかも お母さんは
今日は 矢島洋介君のお母さんにも聞いたの。
あなた 学校の帰りに猫と遊んでいるんだって?
と 尋ねました。

仕方なく うん というと
お母さんは もう猫と遊ぶのはやめて
ちゃんと塾に行ってちょうだいと 厳しく言うので
将太君は しぶしぶ はい と小さい声で言いました。

そうは言っても みいを見かけると
どうしても 抱っこしたくなります。
鞄に餌をいれておいて 手に乗せれば
みい と鳴きながら 食べます。
可愛いな 可愛いな と将太君は思います。

みいを抱っこして その可愛いまあるい大きな目をみて
毛並みのいい小さい体を抱いて やっぱりみいを捨てるなんてできないと思います。
お母さんに怒られるので 塾はサボらないことにしました。
そうなると みいと触れる機会が少なくなるのは仕方がありませんが
もうあえなくなるよりいいと思いました。

月曜の夜 お母さんが
将太 まだ 猫と遊んでいるの?と尋ねました。
ううん もう遊んでないよと言うと
おかあさんは また怖い顔をして
ウソおっしゃい。猫の毛がトレーナーについてたわよ。
と 言いました。
将太君は お母さんを騙すことは難しいなと思いました。

とはいっても学校の帰りにみいを見かければ 
どうしても傍に行ってしまいます。
僕は みいと離れることなんて出来ないよと
将太君は思いました。
しかし お母さんは怖い。お母さんは将太君の洋服を
お洗濯のたびにチェックしました。

そのうち 将太のおこずかい これから少し減らすわねといいました。
おかあさんは 将太君が少ないおこづかいで
猫にえさを買ってあげるのを知っていました。
将太君は学校の帰りもお母さんに見張られているのじゃないかと思って
ついに みいを見かけても 知らんふりをすることに決めました。

そういう日が続いた翌年の秋
将太君は 学校の帰りに みいを見かけました。
それは お金持ちのおばさんに抱かれている 白い三毛猫。
耳が茶色で みい と 鳴いていました。
僕は もう みいを抱けないんだなと
昔を思ってとても切なくなりました。
(おしまい)

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アプローチ

私が ねえ と 彼に目配せをする。
彼は 私の横顔をすっと見るだけ。
もう わかっているでしょうと 私は目で訴える。
しかし彼は 私が何を求めているか知らない素振りをする。

私は焦れて 彼の唇にキスをする。
彼は舌を絡ませる。
漸く 私は彼に気持ちを伝わったことを確認する。

私は彼の肩を強く引き寄せる。
彼は私の重力に負かされて
私を押し倒す。
私は彼の肩を更に強く抱く。

彼は 私にキスを止めない。
そして 私が次にリクエストをするのを待っている。
私が唇を離す。首を右に向けて吐息を吐く。

ああ・・

彼は 私の首筋をなめて そのまま下降する。
君の乳首触ってあげようか。
と 彼が私の耳元で囁くと
それだけで 私は興奮して
まだ 彼が私のそこを触ってもいないのに
既に反応する。


駄目よ。。。

そんなことは わかっている言い訳。
駄目といわれて彼が容赦する筈もない。

最初は ゆっくり。そして リズムをつけながら。
彼は私の右の乳首を触る。指で。舌で。舐めて。
はさんで。下から上に。繊細に。優雅に。

私が感じるのを十分上から見極めてから
更に 今度は 左も触ってあげようかと 提案する。
そんなこといわれなくても 私は十分なのに
彼の気持ちは 決まっている。

もう駄目。本当に駄目よ。

本当に駄目なの? 何がどういう風に駄目なの?
と聞かれても 私の脳は限界を超えている。

両方の乳首を触られて 弄ばれて いじられて
私は 空をみながら 喘ぐ。
その声は泡となり かなたに消えて行くも。

彼の制裁はまだ終わらない。
次は 私の大事な場所に。
ゆっくりと彼の指が降りてきて。
下着の上から触る。いや。もう駄目。
そんなことしないで。
と 要求しても
彼は それじゃ もうこれでやめてもいい?と
意地悪く質問する。

今まで慣れ親しんだ会話を何回も交わしているのに
私たちは この問答を楽しんでいる。

そう 私の反応を確かめ
指で何度も往復し、下から攻めて
私の体が痙攣するのを見届けてから
彼はそこにキスをする。

いや ただのキスではなくて。
それは彼の唇に挟まれ、吸われ、時々噛まれる。
痛さで声を出しても 彼には届かない。
まるで 私は刑を執行されている罪人となる。

果たして本当に私は罪人なのか。
この果てしない欲望の悦楽の底にいる私が?

そう浮遊している間に彼は 私が一度達するのを見届けてから
漸く 彼のものを私に挿入する。
ああ やっと。。。 そう やっと。。。

と 思いつつも
彼は私を許してはくれない。
終わらない波に踊らされて 私は数え切れない快楽を味わう。
死んでしまそうな感覚の中 彼の攻めから開放されて
私は 波に打ち寄せられた感覚で 暫く呆然と横たわっている。

それにも関わらず 彼は 今度は後ろから。
私の腰を持ち上げて 深く深く挿入する。
体がしなる。私の目はもう何もみていない。
彼の部屋の天井も 梁も見えるのに
それは 私の記憶には残っていない。

このからだの深さはなんだろう。
あとからあとから 押し寄せる渦のような感覚。
もう止められない。
彼の腰を後ろから押さえながら
右足をあげたまま 更なる深みに嵌る。
それは 奈落の底。

今まで何度もいってはもどりつする
抜けられない 秘密の場所。

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表も裏

僕の隣でカオルは眠っている。
彼女の寝顔をみて 僕は彼女とであった時のことを思い出した。

共通の友達を介して彼女とは知り合った。
合コンとかそういうのじゃなくて
僕の友達にバレエの先生がいて
彼女が ちょっと私の友達の発表会につきあわない?と誘ったからだ。
バレエなんて 僕の柄じゃないけど
暇だったので 行ってみた。

そこにカオルがいた。
彼女のバレエをみて 胸がときめいた。
踊りをみて ときめくなんて初めてだった。

発表会が終わって 僕の友達 彼女は玲子というのだけど
玲子が カオルの楽屋に行かない?というので
また僕は付き合うことにした。

舞台裏の白い廊下を歩く。
無機質なハイヒールと僕の靴音。
玲子はそれほど口数の多い女性でもないので
にこにこしながら 僕に 『良君 バレエよかった?』と
何気にたずねた。
『まあ よくわからないけど・・・でも 
あのカオルさんだっけ。パンフレットに書いてあったけど。彼女のダンスはよかったなあ』
『カオルって 自分の内面を映し出すのが上手いのよね。私も見習いたいくらいよ。
だから 女性も男性もファンが多いのよ』

西川カオル様
と書いた楽屋に 玲子は コンコンとドアを叩く。
はい どうぞ
と 乾いた声で返事があった。

少し重いドアを開けると カオルが 化粧を落としてるところだった。
片手にティッシュを巻いて こちらを振り向く。
『あ 玲子か。今日 どうもありがとう。あれ こちらの方は?』
カオルは半分油が残っててかてかしている顔で僕の顔をみた。

『私の友達で 高野良介君です。』
なんだか玲子がきちんと紹介してくれたので 僕は面食らって
おもわず 『どうも・・』と愛想のない返事をしてしまった。

『ちょっと待って 玲子。もうすぐ終わるから。終わったらさ、この裏のイタリアンでご飯食べない?』
結構 カオルさんってさばさばしてるんだなあと僕は会話の端々で思った。
彼女のダンスが 妙に妖艶でしっとりしているのでもっと色っぽい人かと想像していたのだけど。

玲子も玲子で 僕の予定など聞かずに
『いいよ。久しぶりにイタリアンいいね。』
『踊った後はさあ、のども渇くし ご飯の前に軽くいっぱいってところだよね』と
カオルさんは ウインクして僕にも笑いかけた。

玲子が 良もどう?と誘ってくれたので
僕はカオルさんと話がしたかったし彼女に興味があったので
即座に え 僕もいいの?というすっとぼけた顔をして
『??マーク』の顔を見せたら

玲子が 何 とぼけてんのよ と笑いながら
良も行くから って 大笑いしてた。
っていうか そんな笑うなよ。尤も 僕と玲子の間には男と女の感情なんてなくて
彼女の別れた彼と僕が友達だってことだけだ。

新宿歌舞伎町のはずれにある 妙に小さな店のイタリアンに招待されて
僕と玲子とカオルさんで 最初はビールで 後はワインを飲んだ。
玲子とは 結構飲んでいたけど カオルさんがこんなに飲めるなんて
僕はまた驚いた。
だって 彼女は一見して上品そうでおしとやかそうで
そんなよっぱらって げらげら笑うタイプにはどうしても僕は思えなくて。
その 僕が一目見て気に入ってしまった カオルさんが
今度は 男言葉で僕に話しかけたときには非常に腰を抜かしそうになった。

『良君ってさあ 仕事何やってんの?』
『カオル もう飲みすぎじゃないの?』
『なんかさ 舞台の後って すっげえ疲れて なんかすっげえ飲みてえって感じじゃね?』
って 玲子に絡んでくる。
そうこう飲んで食べているうちに終電の時間になって
玲子が 『私 もう帰らなくちゃ』って腕時計をみて唸っていた。
玲子は 中野に住んでいるから 新宿からすぐなのだけど

『カオル もう帰るでしょう?』
『私 まだ帰りたくなーい』
『そんなまた酔っ払ったこと言ってないで もう帰るのよ』
『カオルさん 家どこなんですか?』と僕は二人の間に入る。
『私の家は 吉祥寺なのよ』
なに~~~!? 僕の家も吉祥寺だ!
吉祥寺といっても 僕は三鷹よりではあるけど。。。
『とりあえず ここはもう終わりにしようよ』と玲子がカオルさんに言っている。
カオルさんは はっきりいって酒癖があまりよくないようだ。
僕は彼女の舞台と本当の彼女のギャップに非常に驚いていた。
玲子は どうもカオルさんの酔っ払いにはなれているようで
『じゃ カオル とりあえず ここはここで終わりにして・・・』という。
『明日の予定はどうだっけ?』と突然手帳を出して 明日をチェックするカオルさん。
僕は彼女を観察して 突然口が悪くなったりするので
おかしいやら 可愛いやら。
『やべえ 明日さあ 12時からレッスンだった』
『ほら カオル もう飲んでいる場合じゃないんだから』
と 年齢的には玲子の方が下なのに完全にカオルさんはいかれている。
僕は カオルさんがどこまで記憶があるのか 本当に不思議で
二人の行動を眺めていた。

突然 玲子の携帯が鳴った。
『あ ごめん、彼氏から ちょっとごめんね』といって
カオルさんの側を離れた。
カオルさんが 僕に顔を向けて
『良君 私のこと興味ある?』とたずねた。
僕はあまり酔ってなかったので とても驚いて
(僕は酔ってそういう風に人に尋ねるということが不可解であり)
『ええ まあ・・』と曖昧に答えたら
カオルさんは 『あまり興味なさそうねえ』とあちらの方を向くので
ああ これは 僕はいいチャンスを逃すかもしれないという男特有の勘が働き
『いえ 僕 カオルさんの今日のダンスみて とても興奮したんです!』と一気に
言ってしまった。自分の中で ああ やばい 言い過ぎかもと思ったのだけど
カオルさんはちょっとだらけた感じで
『ふうん 私のダンスのどこがよかったってわけ?』とたずねた。
僕は正直に『妖艶でしっとりして引き込まれそうになりました』って言った。
彼女は『ありがとう』といいながら テーブルにうつぶせに寝そうになった。
玲子が帰ってきた。
『こら カオル もう帰るよ』と言って
カオルさんを起こそうとして
なんだか僕はカオルさんが痛々しくなって
玲子に 『僕 カオルさんを吉祥寺までタクシーで送って帰るよ』と
馬鹿な答えをしてしまった。
玲子は 『結構かかるよ』と笑ったけど
僕にしてみれば 舞台でみたカオルさんのダンスが頭から離れなくて
一分一秒でもいいから もっと一緒にいたいと思っていたから
このチャンスを逃したくなかった。
だって 今日が終わったらまたカオルさんと会えるチャンスなんてそうそう
転がってなそうだもの。

玲子は彼氏の部屋にこれから行くというので
僕はカオルさんを連れて 靖国通りでタクシーを拾った。
『じゃ 良君 カオル頼むわね』
『わかった』
玲子はまさか 僕とカオルさんがこの日のうちに関係を持つなんて
ゆめゆめ思っていなかっただろう。このときは。

タクシーを拾って
『吉祥寺までお願いします』と僕は告げた。
カオルさんは 僕の目からみたらそれほど酔っているようには見えなかったのだけど。
車に揺られて彼女は寝てしまった。カオルさんの頭が僕の肩に寄りかかってくる。
いや 彼女は無防備すぎる。
もし ここで僕が彼女にキスしても彼女はわからないだろう。
しかし 彼女はセクシーだ。あのダンスをみて 彼女はどんなセックスをするのだろうと
思い描く男は多いと思う。
そんなえっちなことをつらつら思いながら タクシーは吉祥寺に着いた。
僕は『ありがとうございます』といいながら お金を払って
カオルさんに『つきましたよ』と告げると
彼女は 長い髪をかきあげてけだるそうに
『ああ ありがとう』といいながら だらしなさそうに
タクシーから降りた。

吉祥寺の懐かしい風が吹いた。僕は 新宿と違って このやわらかい風を感じると
ああ 吉祥寺の戻ったなあと思うのだ。
『ねえ 良君』とカオルさんが僕に尋ねた。僕はもうここで彼女と別れるだろうと思っていたから
軽い気持ちで彼女を横目で見た。
『これから忙しいの?』という。
忙しいっていう意味がよくわからないので 僕は黙っていたのだけど
『嫌じゃなかったら これから ホテルいかない?』

はあ!?
僕的には非常に驚き 非常に世間がひっくり返ったような。
だって あの美しいカオルさんが。
あの妖艶なダンスをするカオルさんが。
僕のほかにもファンが沢山いるだろうと思われるカオルさんが
自ら 僕を誘うなんて。

僕はその提案にくらくらしてしまった。
その気持ちを見透かすように カオルさんは
そそくさと 吉祥寺のラブホテル街に歩みを決めていた。

僕もカオルさんもアルコールが多少ハイっていたとはいえ
(いや カオルさんは多少じゃなかったけど)
しかし いやまじで 彼女の反応がよすぎて。
というよりも 僕の女性経験が少なかったのだろうか。
と終わったあと つらつら考えながら また彼女を腕枕していた。

彼女の反応はといえば
キスしながら 既に感じで喘ぐ。そして 僕が彼女の腕を軽く愛撫しても彼女は感じる。
太ももにキスしても 胸にキスしても それは全てが同じでなく
全て違う反応で僕に目配せをして もっともっとと無言で要求する。
彼女は 感じるというよりも モラスというか 感じたくないのに感じてしまうという
それは彼女のダンスに通じるものがあって
僕は非常にそそられて 彼女とセックスしているということもそうだけど
彼女の全部を僕のものにしたい という欲望を
初めて僕の心に植えつけてしまった危険な女だ。カオルというひとは。

彼女とセックスして 他の女性と感じたことのない後味があった。
そう 彼女は またセックスしたくなる女だ。
僕は彼女のことを考えるたびに勃起する。それが電車の中だろうと
会社のミーティングだろうと 彼女を思い出すたびに僕は勃起する。
これはかなりヤバイ症状だ。
彼女と会う以外にこの症状は改善されない。
兎に角 彼女のことを考えるたびにセックスしたくなるというのは
ある種の中毒だ。

僕は覚せい剤など打ったことないけど
もし そういう状況になったら きっとお金をいくら払ってもいいくらい
彼女とセックスしたいという気分になるくらい カオルとのセックスは凄い。

僕たちは溺れた。セックスに。二人で。
カオルに僕が『君とのセックスがすごくて忘れられない』とメールしたら
カオルから即座に『私もよ あなたのxxxが忘れられないの』と
僕は非常に興奮することを彼女を平気で送ってくる。
『じゃあ 僕のxxxで君を蕩かそうか』といえば
『私はあなたの奴隷 どうにでもして・・』と返事が来る。
こんなメールを昼日中から交わしていたら 
そりゃもう仕事どころじゃない。
一刻も早く 仕事を終わらせて やばいカオルと会おうと思う。

ある日 僕は気取ってフレンチを予約した。
『カオルさん(このときはまだカオルと呼べなかった)フレンチいかがですか?』
『いいわね。私 フレンチ好きよ』といいながら シャンパンを飲み
僕はちょっとアルコールがきいたので
『本当は すぐにあなたを抱きたかったのですけど』と本音を言ったら
『だったら このあと すぐに行きましょう』とカオルさんは僕に右から流し目を使って
誘惑した。

結局僕たちはセックスに溺れた。いかに素敵にフレンチや イタリアンや 日本食を予約しても
更なる目標はセックスである。決してディナーなどではないのである。

カオルさんが
『ねえ 良君 私 別にホテルで毎回会おうって思っているんじゃないわよ』と 
僕の肩越しに言った。
『私 あなたが好きよ。あなたの部屋で過ごしてもいいのよ。こうホテルばかりつかうんじゃお金がかかるでしょう?』
僕に優しいまなざしで言う。
なぜか 僕はカオルに他の男の気配も感じていた。こんないい女に僕以外の男がいて当たり前じゃないかなという
妄想。

そんな僕の嫌な邪念を吹き飛ばすように カオルさんは
『私 もう こういう関係を続けるよりもやっぱり同棲したほうがいいと思うわ』といいながら
上半身を起こし 裸の胸を露出させながら 髪をかきあげていた。

というのが僕の彼女との過去であった。


昨日 僕の元に電話があった。
カオルの生徒で 名前は『ミオ』という。
尤も同棲しているからには 携帯以外の二人共通のNTTの電話もあって
カオルはさばけているから 同じ電話番号でいいわよといいながら
携帯以外の番号はこちらにしている。
というわけで 時々彼女の生徒からこの番号にかかってくることもないわけでもないで
僕は ミオちゃんからの電話について 特別どうこうとも思っていなかった。

『あの カオル先生・・ いますか』
『まだ帰ってきていませんよ』
『あの・・・ もしかして 先生の彼氏ですか?』
僕は最近の若いこの多少ぶしつけな言い方に驚きながら
『まあ そうですが・・』と話をあわせた。

『あの・・・』向こうは少し沈黙して
『あの 私 相談があるんです』と切羽詰った声で言った。
『でも 君はカオルに用事があるんでしょう?』と事務的に答える。
『はあ そうですけど・・』なにやら向こうは真剣らしい。

『あの・・・これからあえないでしょうか』という大胆な質問まで20秒くらいかかったかもしれない。

え 僕と会いたいの?という疑問が頭のあちこちから沸いてきて
『何か!?』という非常に冷たい言い方をしてしまった。
『私 カオル先生がとても好きなんです』という嗚咽を聞いてしまった。

カオルを好き?それほど?女性が?
僕の中では非常に驚いたしだいで。
あまりに彼女が泣くので可哀想になって
電話口でおろおろしながら このまま切るわけにもいかないし
事が事だけに 興味もあって
新宿で会うことにした。

君の姿がよくわからないから何か目しるしある?といういかにも
雑誌によくあるような口説きで彼女と待ち合わせした。
ミオは 赤いコートを着てJR新宿駅東口改札の出る前で待っているという。
普通の男が初めて会う女性の胸をときめかせるのと同様に
僕も三鷹の駅を出る頃には 随分と浮かれていたものだ。

時間は夕方18時。居酒屋もバーもこれからという時間である。
ミオは僕を待っていた。約束どおり新宿東口改札前で。
彼女は線が細く 所謂バレエを習っている少女で
小柄で ちょっとつらいことがあればぽきんと折れそうなくらい
たよりなさげであった。
そういう雰囲気を見て僕は なぜか この子は守ってあげたいタイプだなと一人で遠くから眺めて思った。

ミオが僕に近寄ってきて
『良さんですよね』って上目遣いで見た。思わず 『はい そうです』といった僕は間抜けだっただろうか。

『相談があったんだよね カオルのことで』というと
ミオは 『カオル先生のこともそうだけど なんだか最近先生冷たいの・・』と彼女は
赤い手袋を重ねて ふう・・と息を吹きかけながら僕の様子を盗み見た。
まだ12月とはいえ 既に風は寒いから カオルのことは好きだけど
そうそう他の女性から誘われるという曖昧な関係もあることないので
僕はこういう流れを大切にし そしてまたその赤い手袋を記憶に残して
『何か食べようか』と カオルとナラシテキタ今までの教訓を生かしながら
このかわいい小鳥のような彼女をどうしようかと思案していた。

僕らは 靖国通りにある普通の居酒屋に入って
彼女がカシスオレンジ 僕は親父くさいウーロンハイなどを頼み
彼女の話を聞くことにした。

席について ドリンクが来る前に
ミオは 『良さんは知らないかもしれないけど先生 私と恋人なの』と
突然言い出した。
僕は愕然として 
『そんなことあるわけないじゃないか』と ミオに対して
初めてあったのに とても怒りがこみ上げた。
多分 この怒りというのは 僕にも意識してない嫉妬だったのだと思う。
良さん ごめんなさい
と ミオは両手をひざにおいて 彼女の美しい白い首をうなだれさせた。
僕は こういった光景をみたことが何度かある。
そうだ。カオルが僕の知らない男から電話や、メールをもらったあと
なぜか僕にばれた時、彼女はいつもさばさばしているのにも関わらず
そういう時は 妙に女っぽくて白い長い首をそのときばかりヘアスタイルはアップにして
悲しい顔をして 一言『良、 ごめんね』というだけなのだ。

僕はそういうカオルを思い出して ミオがなにをいってるのかわからず
でも ミオは僕の動揺を無視して続けた。
『11月10日 先生は私とセックスしたのよ』という。
『その日の朝 良さんは先生とセックスしたでしょう?』という
なんで 僕とカオルがセックスしたのを君が知ってるんだい?かおるが言ったのか?
といっても
いえ 先生はそんなプライベートなことは言わないの。という。
私は全て先生を通して感じるのという。
とその前に 僕は彼女の前で動揺を隠すことが一番の優先事項であった。

僕はカオルがレズなんて聞いてないし。そんなこと想像もできない。
ミオは続ける。
先生はとっても優しいのよ。まるでおねえさんみたいに。
私を愛撫してくれるの。とミオはうっとりと夢心地に語った。
先生とセックスすると 男なんて嫌だわって思うのよ・・
先生は 良さんとセックスしたあとにだけ私を抱くの。
先生なんでそうなの?ってたずねると
私 一人の男にだけ 脳を奪われるのがとてもつらいのって
泣くのよって。
ミオは僕の混乱を見抜きもせずに
カオルとのセックスを思い描きながら 嬉しそうに語った。

私 カオル先生とセックスしても自分にペニスがないから
本当はどれだけ先生を独占しているか
先生を気持ちよくさせているか分からないんです。
だから 良さんがうらやましい。わたしもペニスをもって
カオル先生とセックスしたいって思うんです。
とミオは別れ間際にゆっくりと言った。

いや うそだ。僕のカオルはセックスは好きだけど 
女性とはセックスしない。
という変なくくりに締め付けられてカオルとミオの僕にとっては嫌な妄想だけが湧き上がり 二人が同じベッドで蛇のように
絡み合っている姿を想像して
家に帰ってもカオルの顔を直視できなかった。

実際 カオルに本当にそうなのかどうなのか
聞けば済む話だと笑われそうだけど
もし そうよ と言われたら
僕の気持ちはどうなってしまうか分からない。
だから 僕はいつも通りに カオルと接するように努力した。

ミオから暫く離れて僕の気持ちは再び安穏としたものになった。

ある日 玲子から電話がかかってきた。
玲子の友達の雪見が僕に会いたいという。
大体僕はそれほどモテルタイプじゃない。
仕事はIT系だし おしゃれでもないし気の利いた会話ができるわけでもないし
セックスだって それほど上手いともおもっていない。
なのに なぜ カオルと付き合ってからこうも他の女性から
誘いが多いのか常に不思議ではあったが
やはり 男の悲しい性でもあるのか
誘われたら それほど気にかけないというか
かわいかったらいいなというか。
全く男は単純だ。

僕は 玲子と約束をし その雪見とあった。
名前のように雪のように白い肌ときめのこまやかさを持った女性だった。
雰囲気は カオルににて 最初は女性らしさを感じたが
ご飯を食べたり飲んでいるうちに彼女の中の少しの男性らしさを感じて
僕は雪見というよりか カオルに近い存在に感じた。

以前のように玲子は彼氏と会うからといって
途中で消えてしまう。。
僕は初めて会う人とはあまり会話がはずまないしどうしていいかわからない。
それで 雪見が 
『良さんって 三鷹に住んでいるって玲子さんから伺いました』という。
『私 荻窪に住んでいます。だから 新宿よりも荻窪で飲んだほうがいいです』
と言う。
僕にしてみれば なるべく三鷹に近いほうが願ったりかなったりで。
それで 玲子はやっぱり彼氏と約束があるから帰るというし
雪見は僕と荻窪で飲もうというし。

僕も男で馬鹿だと思ったけど
この雪見もまたなかなか非常に可愛くて 僕のストライクゾーンの
タイプじゃないけど
普通の男だったらかなりいい路線に思うだろうと彼女の横顔をちらっとみて思った。
僕的には カオルと暫くセックスしてなかったから
雪見がタイプとかそういうんじゃなくて
単にたまっていてやりたかったらというのが本音でもあるのだけど
雪見が荻窪について良さんもう一件行きませんか?と誘ってきたときは
カオルには悪いけど 『最近 オレってついてるぜ』って思ったくらいだ。

荻窪で飲んだ後、どうせ今日はカオルが友達の家に泊まるからと
言っていたのを思い出し、
酔った勢いもあって これから三鷹に来ない?と
僕は大胆に提案してしまった。

しかし 雪見とセックスして驚いたのは
その前も最中も後も カオルのことしかたずねてくれない。

良さん カオル先生はどういう体をしていますか?
どういう胸をしていますか?
どういうさわりかたをして どういう感じ方をして
どういう声をもらして どういう視線を送り
どういう腰を動かして どのように果てるか 
妙に入細に詳しくきかれた。まるで刑事の尋問のようであった。

そこで 僕としてもミオのことがあったのでなにげなく雪見にたずねた。
『もしかして 君 カオルとセックスした?』
僕の直感だった。

雪見は驚いて 私 先生の彼氏にそういうこといわれるなんて思ってもみなかったといい
目を伏せた。

僕は真剣にもっとカオルを知りたいと思い、
『いや 僕は別に気にしているわけじゃないんだ』といかにも平静を装い雪見をまっすぐに見た。

そしたら 彼女はほほを高揚させ 宙に視線をやって
『カオル先生とのセックスはいつも とても気持ちいいし、
 あれ以上のものはないとおもう』と 雪見が言うので

僕は思わず
そんなカオルと雪見との間に嫉妬をして
心の中では そんなことあるはずがないとおもいながら
僕は 雪見をいろんな体位で攻めた。

彼女は物凄く感じて 何度もエクスタシーを味わい
その度にごとに 体が痙攣して 白い肌が興奮で汗ばみ
僕も彼女につられて というより 彼女にうつされたように
我慢していたものが一気に爆発した。

僕は雪見が不思議だったので
『もしかして君 カオルの恋人なの?』と。
僕は男ながら屈辱を隠しえない。しかし、カオルの全てを見てみたいという欲求もある。
雪見は
『カオルと私はもう5年も付き合っていますけど カオルが最近
良さんという男性と 
付き合い始めて彼女の体が変わったので
嫉妬を感じたんです。
それで 私はあなたに興味を覚えたの』

『興味を覚えたから僕とセックスしたっていうの?』
一度肌を合わせた関係になると 割と核心をついた台詞が出てくる。
『良さんとセックスというよりも 良さんを通してカオルとのセックスを位置づけたかったのよ』
と雪見は  
『タバコ吸ってもいいですか?』と僕に尋ねた。

僕もカオルもタバコは吸わないので
仕方なく 台所の奥においてあった灰皿になりそうなふるいお皿を
彼女のタメに持ってきた。

雪見は 枕元に置いたバッグの中からごそごそとバージニアスリムを白い細長い指で取り出し、シルバーに光るライターで火をつけ
思い切り深く吸い込むと 暫く時を止めて 煙を吐いた。

カオルはあなたの前ではタバコを吸わないのね
と一言いい、

そんな彼女に見つめられて 僕は
カオルという女が またわからなくなってきた。
一体 カオル本来の姿はどれが本物なのだろうか。

僕はカオルの事を考えると脳みそがごちゃごちゃになって
こんな思いをする位なら 彼女と別れた方がいいのだろうかと
想うけど、いや 僕には彼女と別れることはまだできそうにない。

(終わり)

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